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Posted by おてもやん at

2013年09月20日

利用者負担は全体を2割にすべき

<国民会議報告書へ物申す>利用者負担は全体を2割にすべき――セミナールポ2
(CMO 2013/09/17 12:00 配信)

9月5日に開催されたハスカップ・セミナー、後半は厚生労働省OBで前大阪大学大学院教授の堤修三氏による介護保険改革の「読み解き方」を紹介する。

かつて厚労省老健局長も務め、『介護保険の意味論--制度の本質から介護保険のこれからを考える』(中央法規出版)などの著書がある堤修三氏。「こういう見方もあるということで話を聞いてもらいたい」と前置きして語った内容は、古巣である厚労省の介護保険改革の姿勢を問い、介護保険のあり方、保険制度の本質について考えさせられるものとなった。

国民会議報告書については「具体的な小政策が過剰に盛り込まれている」と総括し、負担増が明確・確実である一方、肝心の機能強化はどうなのか?と疑問を述べた。
「社会保障は、保険原理を基本に、給付と負担、サービスを微妙なバランスで組み合わせた建築物と言えるもの。増築・改築(=改革)する時は、その構造を壊さないよう細心の配慮が必要だが、改革案にはそれが感じ取れない」と堤氏。

地域包括システムについては、「国が絵を描いて主導することで構築できるものなのか」と述べ、行政がいくら旗をふってもサービスを供給する事業者が参入しなければ実現はむずかしいとして、理想が先行する現状を指摘し、「介護保険制度とは、適度な保険料に値する良質な介護サービスをどう確保するのかが課題だが、肝心のサービス確保が論じられず、システムの理想ばかりが語られている」と危惧した。

介護予防給付の市町村事業への移行については、保険給付とは個人が払う保険料の対価であるもので、市町村の地域包括支援事業は一般財源でやるのが本来、と喝破。市町村が柔軟かつ効率的にサービスを行うことができるというお題目は、措置制度へと逆行する懸念があり、「それでは介護保険の意味がない」。
「介護保険は、加入者にとって掛け捨て度が高く、要支援の適用範囲をあえて広くしている。給付の対象範囲を絞れば、さらにかけ捨て度が高くなる。これでは納付するインセンティブがそがれてしまうおそれがある」

また、一定以上の所得のある人は保険料も利用者負担もアップするのは、果たして納得を得られるものなのか、と疑問を提示し、「低所得者の利用者負担は1割、一定所得以上は2割負担にするのは、必要な人に給付するという保険の原理に反する。全体を2割にし、1割に軽減する分を福祉として交付すべきで、補足給付も同様」と述べた。

国民会議報告書以外の論点にも触れ、地域ケア会議については、専門家がいない地域の合議制でケアプランの変更を行うのは、利用者の意向を無視しており、「選択の自由を標榜してきた介護保険をみずから否定することになる」と述べた。

サービスの効率化と給付の重点化を推し進める介護保険改革。その方向性は、介護保険の精神や社会保険を成立させるものを置き去りにしていないか--それぞれの施策の是非だけではなく、改革の先にある介護保険の未来について考えさせられた講演だった。

◎市民福祉情報オフィス・ハスカップ
http://haskap.net/


  


Posted by ふくえん at 08:30Comments(0)業界ニュース