2012年04月07日
批判的意見も擁護的な声も――厚労省ケアマネの・・
『批判的意見も擁護的な声も』――厚労省ケアマネのあり方検討会(2)
(ケアマネジメントオンライン 2012/04/02 14:30 配信)
3月28日、東京・西新橋で開かれた「介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関する検討会」の第1回会合では、21名の構成員から一言ずつコメントがあった。その報告2回目の今回は構成員の代表的な意見を紹介する。
ケアマネ哀史?
利用者本位が強すぎて、ケアマネジャーはかわいそうかなと思う。ケアマネ哀史ともいうべき状況。もう少し権限を与えるといいと思いつつ、残念ながらその任に堪えうる能力がある人が少ない。給付管理はできるが、ケアプランを立てると組み込むサービスの少ない簡単なものになってしまう。 [武久洋三氏・日本慢性記医療協会常任理事・池端氏代理人]
忙しくてケアプランが作れないとはどういうことか?
事務局が提示した資料によれば、ケアプラン作成上の困難点として、「業務多忙で、全員のケアプランを十分に作成できない」との回答が4割もいる。ケアプラン作成が仕事なのに、できないが4割とはどういうことか。また、アセスメントができていないケアマネジャーも多い。これは問題ではないか。[小山秀夫氏・兵庫県立大学教授]
→ これに対しては事務局から、「質問の設定の問題があり、もっとよいプランを作りたいが十分にできていない等の意味であり、できていないということではないと思われる」との説明があった。

※クリックして拡大
ケアマネジャーの質の向上と保険者の能力には相関あり
介護保険法の第1条(目的)は国民に理解されているが、第2条以降、つまり、介護保険が要介護状態の軽減や自立支援のために給されるものであることについてはまだまだ浸透していない。特に、持っている能力の維持向上に努めるという国民の努力と義務について書かれた第4条については、もっと伝えていく必要がある。
ケアマネジャーの専門性とは、高度なアセスメント能力、高度なプランニング能力、高度な検証力だと考える。この10年でこれを確立していく必要がある。また、中立公正はケアマネジャーだけに求めても無理がある。これには保険者の経営マネジメント力が大きく関わる。ケアマネジャーの質の向上と保険者の能力には深い相関があると考えている。 [東内京一氏・埼玉県和光市長寿あんしん課長]

求められるケアマネ像を明確化すべき
居宅介護支援事業所に併設型が多いのは、ケアマネジャーが自立できるだけの報酬が得られていないから併設で経営を補っているという実態がある。また今後、地域包括ケアを推進していくには、どのようなケアマネジャーが必要かを明確化する必要がある。現状では、マネジメントかコーディネイトか方針が明確ではない。力量に不安を持つのは、職務が曖昧で達成レベルが不明確であることも大きい。 [馬袋秀男氏・民間介護事業推進員会代表委員]
ケアマネの質が問われてしまうわけは
いいケアマネジャーもいるのになぜ質が問われてしまうのか考えてみた。たとえば、ニーズと課題を一緒に書く、今のケアプラン様式なども問題点の一つ。課題を把握できていても、そこが見えにくいプランになってしまう。また、事業者が自立支援を十分理解していないために、ケアプランから個別サービス計画が適切に作られていないことも多い。[水村美穂子氏・東京都青梅市地域包括支援センターすえひろセンター長]
以上、ケアマネジャーに対して批判的な意見もあったが、擁護的な声も少なくなかったことに期待しつつ、ゴールデンウィーク明けの第2回会合以降の議論に注目していきたい。
(ケアマネジメントオンライン 2012/04/02 14:30 配信)
3月28日、東京・西新橋で開かれた「介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関する検討会」の第1回会合では、21名の構成員から一言ずつコメントがあった。その報告2回目の今回は構成員の代表的な意見を紹介する。
ケアマネ哀史?
利用者本位が強すぎて、ケアマネジャーはかわいそうかなと思う。ケアマネ哀史ともいうべき状況。もう少し権限を与えるといいと思いつつ、残念ながらその任に堪えうる能力がある人が少ない。給付管理はできるが、ケアプランを立てると組み込むサービスの少ない簡単なものになってしまう。 [武久洋三氏・日本慢性記医療協会常任理事・池端氏代理人]
忙しくてケアプランが作れないとはどういうことか?
事務局が提示した資料によれば、ケアプラン作成上の困難点として、「業務多忙で、全員のケアプランを十分に作成できない」との回答が4割もいる。ケアプラン作成が仕事なのに、できないが4割とはどういうことか。また、アセスメントができていないケアマネジャーも多い。これは問題ではないか。[小山秀夫氏・兵庫県立大学教授]
→ これに対しては事務局から、「質問の設定の問題があり、もっとよいプランを作りたいが十分にできていない等の意味であり、できていないということではないと思われる」との説明があった。

※
ケアマネジャーの質の向上と保険者の能力には相関あり
介護保険法の第1条(目的)は国民に理解されているが、第2条以降、つまり、介護保険が要介護状態の軽減や自立支援のために給されるものであることについてはまだまだ浸透していない。特に、持っている能力の維持向上に努めるという国民の努力と義務について書かれた第4条については、もっと伝えていく必要がある。
ケアマネジャーの専門性とは、高度なアセスメント能力、高度なプランニング能力、高度な検証力だと考える。この10年でこれを確立していく必要がある。また、中立公正はケアマネジャーだけに求めても無理がある。これには保険者の経営マネジメント力が大きく関わる。ケアマネジャーの質の向上と保険者の能力には深い相関があると考えている。 [東内京一氏・埼玉県和光市長寿あんしん課長]

求められるケアマネ像を明確化すべき
居宅介護支援事業所に併設型が多いのは、ケアマネジャーが自立できるだけの報酬が得られていないから併設で経営を補っているという実態がある。また今後、地域包括ケアを推進していくには、どのようなケアマネジャーが必要かを明確化する必要がある。現状では、マネジメントかコーディネイトか方針が明確ではない。力量に不安を持つのは、職務が曖昧で達成レベルが不明確であることも大きい。 [馬袋秀男氏・民間介護事業推進員会代表委員]
ケアマネの質が問われてしまうわけは
いいケアマネジャーもいるのになぜ質が問われてしまうのか考えてみた。たとえば、ニーズと課題を一緒に書く、今のケアプラン様式なども問題点の一つ。課題を把握できていても、そこが見えにくいプランになってしまう。また、事業者が自立支援を十分理解していないために、ケアプランから個別サービス計画が適切に作られていないことも多い。[水村美穂子氏・東京都青梅市地域包括支援センターすえひろセンター長]
以上、ケアマネジャーに対して批判的な意見もあったが、擁護的な声も少なくなかったことに期待しつつ、ゴールデンウィーク明けの第2回会合以降の議論に注目していきたい。
2012年04月07日
構成員に現職ケアマネは1人だけ―厚労省ケアマネの・・
『構成員に現職ケアマネは1人だけ』――厚労省ケアマネのあり方検討会(1)
(ケアマネジメントオンライン 2012/04/02 12:00 配信)
3月28日、東京・西新橋で厚生労働省の「介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関する検討会」の第1回会合が開かれた。この検討会は、社会保障審議会介護給付費分科会において、「ケアマネジャーの養成・研修課程や資格のあり方に関する検討会を設置し、議論を進める」とされたことを踏まえて開催され、いわばケアマネジャーの今後を決定づける大切な議論。議論は今年秋までに整理される予定だ。開催告知期間が短かったせいか、一般傍聴席は空席が目立ち、マスコミ取材も少なめだった。
検討事項として挙げられたのは、ケアマネジャーをめぐる課題の整理、養成カリキュラム・研修体系のあり方、試験のあり方、資格のあり方。事務局からは「ケアマネジメントのあり方も含め広く検討したい」との補足があり、ケアマネジャーを全方位から検討するといったイメージだ。
検討会の構成員21名は、社保審給付費分科会委員との重複が日本介護支援専門員協会会長の木村氏を始め7名、それ以外の業界団体・職能団体からの構成員が5名、大学教授が4名、保険者代表が1名、その他の有識者が3名。現職のケアマネジャーは1名だけで、利用者サイドの代表は含まれていない。

この構成に対しては武久洋三氏(日本慢性記医療協会常任理事・池端氏代理人)から、「現職者が1名だけとは。少なくとも2,3名の現職者を入れて、直接、声を聞くべきではないか」との指摘があった。しかし、事務局は「ケアマネジャーと直接やり取りしている保険者の代表や、現場の声を聞いている日本介護支援専門員協会会長、民間事業者の代表に来ていただいているので、現場のご意見は伺えると考えている。他の方からもどうしても、というご意見があれば考えるが…」との回答で、このままのメンバーで検討が進められるようだ。
さて、検討会の内容だが、まずは事務局から配付資料の説明があり、その後、構成員全員が順に一言ずつコメントした。
事務局が提示した資料は、まずケアマネジャーをめぐる現状と課題として、制度的位置づけ、機能的位置づけ、資格要件、研修体系。参考資料として、これまでのケアマネジャー関連の制度改定内容(各種加算等)のほか、サービス担当者会議の開催状況、ケアプランに位置づけられたサービス種類数、ケアマネジャーの勤務上の悩み、ケアプラン作成上の困難、セルフケアプランについて、施設ケアマネジャーの悩みなど。
一方、各構成員からのコメントでは、ケアマネジャーの資質・能力についての問題、評価のあり方の問題、求められている職能の問題、保険者機能の問題、医療との連携を含め、適切なケアマネジメントを遂行しやすい仕組み作りの問題などについての指摘が多かった。医療との連携についての問題はこれまでも繰り返し指摘されているが、ケアマネジャーだけに責任があるのではなく、医療側の問題やしくみの問題もある、との意見が複数聞かれた。
また、施設ケアマネジャーと居宅ケアマネジャーはまったく機能が違うので分けて検討すべきだという指摘も。山田和彦構成員(全国老人保健施設協会会長)からは、施設では介護保険以前からケアに携わる全メンバーが関わってケアプランを立ててきた、施設にケアマネジャーが配置されたことで現場が混乱した、施設にケアマネジャーは本当に必要かも議論したい、との発言もあった。
初回と言うこともあり、まだ意見は散発的ではあったが、「中立公正をケアマネジャーだけに求めるのは無理がある。これは保険者の経営マネジメント力に拠るところも大きい」(東内京一氏・埼玉県和光市長寿あんしん課長)、「ケアマネジャーに求められている職務が曖昧。達成レベルが不明確だから力量に自信が持てない。これを明確化すべき」(馬袋秀男氏・民間介護事業推進委員会代表委員)など、鋭い意見も見られた。
――構成員の代表的な意見の詳細については、検討会(2)へ続く
(ケアマネジメントオンライン 2012/04/02 12:00 配信)
3月28日、東京・西新橋で厚生労働省の「介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関する検討会」の第1回会合が開かれた。この検討会は、社会保障審議会介護給付費分科会において、「ケアマネジャーの養成・研修課程や資格のあり方に関する検討会を設置し、議論を進める」とされたことを踏まえて開催され、いわばケアマネジャーの今後を決定づける大切な議論。議論は今年秋までに整理される予定だ。開催告知期間が短かったせいか、一般傍聴席は空席が目立ち、マスコミ取材も少なめだった。
検討事項として挙げられたのは、ケアマネジャーをめぐる課題の整理、養成カリキュラム・研修体系のあり方、試験のあり方、資格のあり方。事務局からは「ケアマネジメントのあり方も含め広く検討したい」との補足があり、ケアマネジャーを全方位から検討するといったイメージだ。
検討会の構成員21名は、社保審給付費分科会委員との重複が日本介護支援専門員協会会長の木村氏を始め7名、それ以外の業界団体・職能団体からの構成員が5名、大学教授が4名、保険者代表が1名、その他の有識者が3名。現職のケアマネジャーは1名だけで、利用者サイドの代表は含まれていない。

この構成に対しては武久洋三氏(日本慢性記医療協会常任理事・池端氏代理人)から、「現職者が1名だけとは。少なくとも2,3名の現職者を入れて、直接、声を聞くべきではないか」との指摘があった。しかし、事務局は「ケアマネジャーと直接やり取りしている保険者の代表や、現場の声を聞いている日本介護支援専門員協会会長、民間事業者の代表に来ていただいているので、現場のご意見は伺えると考えている。他の方からもどうしても、というご意見があれば考えるが…」との回答で、このままのメンバーで検討が進められるようだ。
さて、検討会の内容だが、まずは事務局から配付資料の説明があり、その後、構成員全員が順に一言ずつコメントした。
事務局が提示した資料は、まずケアマネジャーをめぐる現状と課題として、制度的位置づけ、機能的位置づけ、資格要件、研修体系。参考資料として、これまでのケアマネジャー関連の制度改定内容(各種加算等)のほか、サービス担当者会議の開催状況、ケアプランに位置づけられたサービス種類数、ケアマネジャーの勤務上の悩み、ケアプラン作成上の困難、セルフケアプランについて、施設ケアマネジャーの悩みなど。
一方、各構成員からのコメントでは、ケアマネジャーの資質・能力についての問題、評価のあり方の問題、求められている職能の問題、保険者機能の問題、医療との連携を含め、適切なケアマネジメントを遂行しやすい仕組み作りの問題などについての指摘が多かった。医療との連携についての問題はこれまでも繰り返し指摘されているが、ケアマネジャーだけに責任があるのではなく、医療側の問題やしくみの問題もある、との意見が複数聞かれた。
また、施設ケアマネジャーと居宅ケアマネジャーはまったく機能が違うので分けて検討すべきだという指摘も。山田和彦構成員(全国老人保健施設協会会長)からは、施設では介護保険以前からケアに携わる全メンバーが関わってケアプランを立ててきた、施設にケアマネジャーが配置されたことで現場が混乱した、施設にケアマネジャーは本当に必要かも議論したい、との発言もあった。
初回と言うこともあり、まだ意見は散発的ではあったが、「中立公正をケアマネジャーだけに求めるのは無理がある。これは保険者の経営マネジメント力に拠るところも大きい」(東内京一氏・埼玉県和光市長寿あんしん課長)、「ケアマネジャーに求められている職務が曖昧。達成レベルが不明確だから力量に自信が持てない。これを明確化すべき」(馬袋秀男氏・民間介護事業推進委員会代表委員)など、鋭い意見も見られた。
――構成員の代表的な意見の詳細については、検討会(2)へ続く