2013年05月29日

地域包括、地域ケア会議はこのままでいいのか?

<社保審レポ(2)>地域包括、地域ケア会議はこのままでいいのか?
(CMO 2013/05/17 11:00 配信)

5月15日に開かれた第44回社会保障審議会介護保険部会では、地域包括支援センターや地域ケア会議についても、さまざまな意見が挙がった。

地域包括支援センターは、現在4,328カ所設置され、サブセンター・ブランチをあわせると7,072カ所になる。ここで課題となっているのが、4分の1の地域包括支援センターが「業務量が過大」と認識していること約半数の地域包括支援センターが「地域支援ネットワークを活かしたケアマネ支援をしていない」と回答していることだ、。ちなみに、業務量過大の内訳は、「総合相談支援業務」21.2%、「要支援者の予防ケアマネジメント」20.7%、「二次予防事業対象者の予防ケアマネジメント」17.7%。

一方、地域ケア会議について、厚生労働省担当者は、2012年6月現在で1,202の保険者で実施されているものの、その主催者、会議の内容、参加者などはさまざまで、個別ケースの検討を基本としている会議は多くない現状にあると説明。

淑徳大学総合福祉学部教授の結城康博委員は、まず、地域包括支援センターについては、「『要支援者の予防ケアマネジメント』の業務を、通常の居宅介護支援業務に戻し(平成18年3月末時の状態)、例外的にわずかなケースのみ『要支援』『要介護』のケアマネジメント業務を担当できるシステムに変更すべき」と主張。地域ケア会議については、「コンセプトには賛同できるが、利用者不在の懸念を抱く。特に、個別ケースの支援会議では、実際の利用者状況を把握しているのはケアマネジャーのみの場合も少なくない。むしろ、ケアマネジャーを中心とした『サービス担当者会議』の充実・見直しが必要」と訴えた。

地域包括、地域ケア会議はこのままでいいのか?

日本看護協会常任理事の齊藤訓子委員は、「地域包括支援センターに対して期待はますます大きくなる一方で、予防のマネジメントで手一杯になっているが、このままでいいのか? 設置の仕方、センター間の役割分担について検討すべきではないか」と、疑問を投げかけた。

医療法人真正会理事長の齊藤正身委員は、4分の1の地域包括支援センターが「業務過大」と認識しているという結果について、「もっと多くのセンターがしんどいと思っているのではないか?」と述べ、「地域包括支援センターがこんなにいろいろな機能を担えるのか? 均質化のための方策を採らなければいけない」と指摘。また、地域包括支援センターの業務は、要支援者と二次予防事業対象者のケアマネジメント業務を合わせて約4割に上るという結果に対して、「リハビリスタッフや栄養士などの専門職のサポートで成り立っている。サポートする体制も考える必要があるのではないか」とコメントした。

また、UAゼンセン日本介護クラフトユニオン顧問・政策主幹の河原四良委員は、地域ケア会議の運営について2点指摘。一つは、「会議を主催する市町村、参加する従業員の間に、“指導する側”と“指導される側”という格差がある。対等な関係がまず必要ではないか」ということ。2つ目は、「地域ケア会議で話し合われた内容を、現場で働く人にフィードバックする仕組みをぜひつくってほしい」。

次回の介護保険部会は6月6日に予定されており、「在宅サービス」「施設サービス」「介護人材の確保」「認知症施策」について話し合う予定だ。

◎厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/

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【CMO編集部 橋口】


Posted by ふくえん at 08:30│Comments(0)業界ニュース
 
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