2012年10月18日
日常的なリハビリを介護職に- リハビリの協働でシンポジウム
(キャリアブレイン 2012年10月05日 20:47 )
このほど開かれた「第23回全国介護老人保健施設大会」では、「必要とされるリハビリテーション」をテーマに、リハビリ専門職などの協働を考えるシンポジウムが行われた。老健には在宅復帰のための機能が求められているが、日常生活の中で行うリハビリを介護職が提供するという視点が示された。

「第23回全国介護老人保健施設大会」では、リハビリ専門職などの協同を考えるシンポジウムが行われた
介護老人保健施設せんだんの丘(仙台市)の土井勝幸施設長は、在宅復帰への取り組みについて報告した。
同施設では、これまで在宅復帰する利用者は少数だったが、3年ほど前に地域へ戻ってもらうためのプロジェクトを開始した。現在では在宅復帰率は60%で推移している。
土井氏は、入所時に利用者の家族に対して、生活機能を向上させ、地域に戻ってもらうための施設であることをしっかり説明することの重要性を指摘する。また、入所時のインテークを重視しており、自宅を訪問した時に把握した利用者のニーズが、施設内の介護力で本当に達成できるのか、確認する必要があると言う。
土井氏は在宅に復帰する上で、「頻回な訪問指導」「頻回なカンファレンス」「退所後の適切なフォロー体制」が重要なポイントだとする。
施設では、リハビリ専門職をはじめ、相談員、介護職員、看護職員も利用者の状況に応じて訪問させている。また、利用者の状況は刻々と変わるため、アセスメントに基づいて、適宜カンファレンスを行うという。
そして、退所前、退所後に自宅を訪問し、利用者の生活状況を見て、ショートステイの活用を提案している。機能が低下してしまった時には、再度入所してもらう。土井氏は、地域に戻れば、施設と在宅の「往復型」の支援に切り替わると言う。
土井氏は、地域でケアを継続していく上での主役はあくまで介護職だと指摘する。毎日の生活には、リハビリ専門職は配置できないが、これまでのリハビリを再現し、反復しながら、自立を支援する必要がある。そのためにも、日常生活のリハビリは、介護職に担ってもらう必要がある。
リハビリ専門職は、例えば、家の前の石畳を歩けるのかという課題が浮上すれば、介護職と一緒に訪問してアセスメントするほか、自宅の動線がふさがっているならば、環境を調整するといった役割が重要になるという。
■STによる日常生活場面での援助
日本言語聴覚士協会の深浦順一会長は、老健で言語聴覚士(ST)がかかわる障害として、摂食嚥下障害が増えているほか、認知機能の低下で、コミュニケーションに問題を生じている人が多いと指摘した。
高齢者における摂食・嚥下障害の要因として、▽加齢に伴う解剖学的、機能的低下▽意識レベル、認知レベルの低下▽脳血管障害に伴う知覚低下、運動低下-が見られるという。これらによって、特に「不顕性誤嚥」という“むせ”が生じない誤嚥のリスクが高まるという。
深浦氏は、誤嚥しないための方法として、活動性を高め、意識レベルを上げるほか、嚥下訓練を行ったり、多職種で共通認識を持って、摂食指導を行うことなどを挙げた。
また、誤嚥しても肺炎にならないためには、▽活動性を高める▽呼吸・発声機能を高める▽口腔・咽頭を清潔にする-などの方法を挙げた。
さらに深浦氏は、高齢者の状態を詳細に、総合的に把握しながら対応することが重要と指摘するほか、日常生活場面での援助において、STとしての専門性を発揮しながら、多職種と協働したいと訴えた。【大戸豊】
このほど開かれた「第23回全国介護老人保健施設大会」では、「必要とされるリハビリテーション」をテーマに、リハビリ専門職などの協働を考えるシンポジウムが行われた。老健には在宅復帰のための機能が求められているが、日常生活の中で行うリハビリを介護職が提供するという視点が示された。

「第23回全国介護老人保健施設大会」では、リハビリ専門職などの協同を考えるシンポジウムが行われた
介護老人保健施設せんだんの丘(仙台市)の土井勝幸施設長は、在宅復帰への取り組みについて報告した。
同施設では、これまで在宅復帰する利用者は少数だったが、3年ほど前に地域へ戻ってもらうためのプロジェクトを開始した。現在では在宅復帰率は60%で推移している。
土井氏は、入所時に利用者の家族に対して、生活機能を向上させ、地域に戻ってもらうための施設であることをしっかり説明することの重要性を指摘する。また、入所時のインテークを重視しており、自宅を訪問した時に把握した利用者のニーズが、施設内の介護力で本当に達成できるのか、確認する必要があると言う。
土井氏は在宅に復帰する上で、「頻回な訪問指導」「頻回なカンファレンス」「退所後の適切なフォロー体制」が重要なポイントだとする。
施設では、リハビリ専門職をはじめ、相談員、介護職員、看護職員も利用者の状況に応じて訪問させている。また、利用者の状況は刻々と変わるため、アセスメントに基づいて、適宜カンファレンスを行うという。
そして、退所前、退所後に自宅を訪問し、利用者の生活状況を見て、ショートステイの活用を提案している。機能が低下してしまった時には、再度入所してもらう。土井氏は、地域に戻れば、施設と在宅の「往復型」の支援に切り替わると言う。
土井氏は、地域でケアを継続していく上での主役はあくまで介護職だと指摘する。毎日の生活には、リハビリ専門職は配置できないが、これまでのリハビリを再現し、反復しながら、自立を支援する必要がある。そのためにも、日常生活のリハビリは、介護職に担ってもらう必要がある。
リハビリ専門職は、例えば、家の前の石畳を歩けるのかという課題が浮上すれば、介護職と一緒に訪問してアセスメントするほか、自宅の動線がふさがっているならば、環境を調整するといった役割が重要になるという。
■STによる日常生活場面での援助
日本言語聴覚士協会の深浦順一会長は、老健で言語聴覚士(ST)がかかわる障害として、摂食嚥下障害が増えているほか、認知機能の低下で、コミュニケーションに問題を生じている人が多いと指摘した。
高齢者における摂食・嚥下障害の要因として、▽加齢に伴う解剖学的、機能的低下▽意識レベル、認知レベルの低下▽脳血管障害に伴う知覚低下、運動低下-が見られるという。これらによって、特に「不顕性誤嚥」という“むせ”が生じない誤嚥のリスクが高まるという。
深浦氏は、誤嚥しないための方法として、活動性を高め、意識レベルを上げるほか、嚥下訓練を行ったり、多職種で共通認識を持って、摂食指導を行うことなどを挙げた。
また、誤嚥しても肺炎にならないためには、▽活動性を高める▽呼吸・発声機能を高める▽口腔・咽頭を清潔にする-などの方法を挙げた。
さらに深浦氏は、高齢者の状態を詳細に、総合的に把握しながら対応することが重要と指摘するほか、日常生活場面での援助において、STとしての専門性を発揮しながら、多職種と協働したいと訴えた。【大戸豊】
Posted by ふくえん at 11:21│Comments(0)
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