2012年03月05日
訪看導入進まないのは「ケアマネの医療知識薄いから」?
訪看導入進まないのは「ケアマネの医療知識薄いから」?――第89回社保審レポ(1)
(ケアマネジメントオンライン 2012/03/01 09:00 配信)
2月28日、厚生労働省は第89回社会保障審議会介護給付費分科会を開催した。今回の議題は「東日本大震災に係る訪問看護サービスの特例措置について」そのほか。東日本大震災の特例として期限付きで認めていた訪問看護ステーションの一人開業について、2月に入って1件申請を受理したことから、平成24年2月29日までの期限を半年間延長する旨、小宮山厚生労働大臣より当会に諮問があったことから、これを審議し答申を行った。
この「期限付き訪看ステーション一人開業」(「東日本大震災に対処するための基準該当訪問看護の事業の人員、設備及び運営に関する基準」平成23年厚生労働省令第53号)に関しては、大方の委員が条件付きで了承するなか、勝田登志子委員(認知症の人と家族の会服代表理事)は、利用者の立場から「震災による環境の悪化で症状も悪化していると聞く。介護する家族も介護うつに陥るなど心のケアを必要としている。期限つきではなく、復興するまで延長が必要」とさらなる期間延長を求めた。そして、事務局に「被災地において、どれくらいの利用者が訪問看護を利用しているのか」とたずねた。
これに対し事務局側は「(調査に当たるべき被災地の)自治体負担もあり、把握していない」と弁明した。
日本看護協会常任理事の斉藤訓子委員は、「(昨年4月13日に公示されたものの、今年2月まで1件しか申請がなかったことについて)本当に特例措置が必要だったのか。(被災地の)既存の訪看ステーションはニーズがあればいつでもサービス提供できる体制は整っている。
(さらに、状況が)落ち着くに従って、利用者が入院したり県外へ移動するなどして、利用者が激減しているのではないか。また、一人開業では経営的にも苦しい」と、現実には既存サービスも十分に利用されていない事実を延べた。
これに対し、事務局側も「市町村で申請を受理したケースがこれまでなかったのは、既存のサービス提供で充足していたからではと見ている」とした。
また他の委員からも「一人開業では365日・24時間体制のサービス提供は難しい」「(ニーズがあるなら)病院診療所系の訪問看護で、医療保険で提供してもいい。なし崩しに延長すれば、制度の根幹を揺るがすことになるので反対」「(数字的な根拠のない)情緒論で延長することには反対」などの意見が数多く出され、「今回のみの延長は仕方がないが、今後は認めない」というムードになりかけた。

そうしたなか、ケアマネジャーを槍玉に挙げた委員もいた。
武久洋三委員(日本慢性期医療協会会長)は、「そもそもニーズがないのはケアプランを入れるときに、訪問看護はファーストチョイスになっていないからではないか。それなら病院で対応できる」と語ると、馬袋秀男委員(民間介護事業推進委員会)も、「(ニーズが上がってこないのは)ここにはナースが必要というプランが必要なのに、選択されないのはケアマネジメントの問題」とした。
さらに、「ある調査によると、訪看サービスを希望したのに使えなかった理由は『ケアマネが不要と判断したから』というものだった。これはケアマネジャーの医療知識が薄いのと、医者が怖いからかもしれない」(池田省三・地域ケア政策ネットワーク研究主幹)という意見も飛び出した。
「特例措置を半年間期間延長する」諮問に答申するだけの審議だったが、結局「一人開業でどこまでニーズに対応できるのか疑問」「そもそもサービスの需要があるのかわかっていない」「基準を満たした既存訪看ステーションがいつでも受入れ可能」「ケアマネジャーが訪問看護を入れない」など、単純に答申するには問題が多すぎる内容だった。
中には「訪看ステーションの人員配置は2・5人でも最大の規制緩和。特例といえども情緒的に話されては困る。期間延長には反対」という強硬な意見を述べる委員も。
しかし、大森彌分科会長(東京大学名誉教授)は、「今回は2月になって受理した案件があり、延長は認めざるを得ない」とし、この案件は「延長を了承する」との了承を得て答申するに至った。
(ケアマネジメントオンライン 2012/03/01 09:00 配信)
2月28日、厚生労働省は第89回社会保障審議会介護給付費分科会を開催した。今回の議題は「東日本大震災に係る訪問看護サービスの特例措置について」そのほか。東日本大震災の特例として期限付きで認めていた訪問看護ステーションの一人開業について、2月に入って1件申請を受理したことから、平成24年2月29日までの期限を半年間延長する旨、小宮山厚生労働大臣より当会に諮問があったことから、これを審議し答申を行った。
この「期限付き訪看ステーション一人開業」(「東日本大震災に対処するための基準該当訪問看護の事業の人員、設備及び運営に関する基準」平成23年厚生労働省令第53号)に関しては、大方の委員が条件付きで了承するなか、勝田登志子委員(認知症の人と家族の会服代表理事)は、利用者の立場から「震災による環境の悪化で症状も悪化していると聞く。介護する家族も介護うつに陥るなど心のケアを必要としている。期限つきではなく、復興するまで延長が必要」とさらなる期間延長を求めた。そして、事務局に「被災地において、どれくらいの利用者が訪問看護を利用しているのか」とたずねた。
これに対し事務局側は「(調査に当たるべき被災地の)自治体負担もあり、把握していない」と弁明した。
日本看護協会常任理事の斉藤訓子委員は、「(昨年4月13日に公示されたものの、今年2月まで1件しか申請がなかったことについて)本当に特例措置が必要だったのか。(被災地の)既存の訪看ステーションはニーズがあればいつでもサービス提供できる体制は整っている。
(さらに、状況が)落ち着くに従って、利用者が入院したり県外へ移動するなどして、利用者が激減しているのではないか。また、一人開業では経営的にも苦しい」と、現実には既存サービスも十分に利用されていない事実を延べた。
これに対し、事務局側も「市町村で申請を受理したケースがこれまでなかったのは、既存のサービス提供で充足していたからではと見ている」とした。
また他の委員からも「一人開業では365日・24時間体制のサービス提供は難しい」「(ニーズがあるなら)病院診療所系の訪問看護で、医療保険で提供してもいい。なし崩しに延長すれば、制度の根幹を揺るがすことになるので反対」「(数字的な根拠のない)情緒論で延長することには反対」などの意見が数多く出され、「今回のみの延長は仕方がないが、今後は認めない」というムードになりかけた。

そうしたなか、ケアマネジャーを槍玉に挙げた委員もいた。
武久洋三委員(日本慢性期医療協会会長)は、「そもそもニーズがないのはケアプランを入れるときに、訪問看護はファーストチョイスになっていないからではないか。それなら病院で対応できる」と語ると、馬袋秀男委員(民間介護事業推進委員会)も、「(ニーズが上がってこないのは)ここにはナースが必要というプランが必要なのに、選択されないのはケアマネジメントの問題」とした。
さらに、「ある調査によると、訪看サービスを希望したのに使えなかった理由は『ケアマネが不要と判断したから』というものだった。これはケアマネジャーの医療知識が薄いのと、医者が怖いからかもしれない」(池田省三・地域ケア政策ネットワーク研究主幹)という意見も飛び出した。
「特例措置を半年間期間延長する」諮問に答申するだけの審議だったが、結局「一人開業でどこまでニーズに対応できるのか疑問」「そもそもサービスの需要があるのかわかっていない」「基準を満たした既存訪看ステーションがいつでも受入れ可能」「ケアマネジャーが訪問看護を入れない」など、単純に答申するには問題が多すぎる内容だった。
中には「訪看ステーションの人員配置は2・5人でも最大の規制緩和。特例といえども情緒的に話されては困る。期間延長には反対」という強硬な意見を述べる委員も。
しかし、大森彌分科会長(東京大学名誉教授)は、「今回は2月になって受理した案件があり、延長は認めざるを得ない」とし、この案件は「延長を了承する」との了承を得て答申するに至った。
Posted by ふくえん at 17:31│Comments(0)
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