スポンサーサイト

上記の広告は90日以上記事の更新がないブログに表示されます。新しい記事を書くことで、こちらの広告が消せます。

  

Posted by おてもやん at

2013年04月01日

「2025年問題」にどう対処するか 介護保険への遺言

(産経新聞 3月27日(水)9時7分配信)

次の介護保険法改正に向けた議論が始まった。最大の課題は、団塊の世代がすべて75歳以上になる「2025年問題」にどう対処するか。使いやすく、持続可能な介護サービスのためには何が必要か。発足前から介護保険制度をウオッチしてきた池田省三龍谷大学名誉教授に聞いた。(文・佐藤好美)

 ■問われる互助の仕組み

 --2025(平成37)年に向けて、介護保険では何が必要でしょうか

 池田 注意すべきは、高齢化のスピードが地域で異なる点です。75歳以上の後期高齢者が一番増えるのは東京ですが、増加率が一番高いのは埼玉。千葉、神奈川、大阪、愛知と都市部が続きます。埼玉県では2010年から2025年にかけて75歳以上の人が2倍以上になる

 --サービスも費用も倍になるということですか?

 池田 サービス増が間に合わないかもしれない。埼玉県は高齢者1人当たりの在宅サービスが全国一少ないし、施設サービスも少ない。だからといって施設を増やすだけなら、自治体も介護保険も財政が持たない。一方で、埼玉県は後期高齢者の要介護認定率が低く、元気高齢者が多い。自分のまちの実態をしっかりと把握し、周辺自治体と協力して準備をする必要があります。

 --次期改正の課題は何でしょうか?

 池田 本来の意味での「介護」をほとんど必要としない「要支援1」「要支援2」の人が使う予防サービスの見直しです。このサービスには4500億円近くがあてられている。しかし、「介護給付費実態調査報告」を分析すると、状態が改善されているようには見えない。悪化させている可能性すらある。市町村の保健事業にきちんと位置付けて予防リハビリをしたり、廃用症候群につながる高齢者の引きこもりにコミュニティー全体で取り組んだりしないと機能しない。真剣に考えないといけません。

 --予防サービスが介護保険から外れると、困る人もいるのでは

 池田 予防サービスで多いのは食事作りと掃除です。ですが、要支援1の認定者のうち、サービスを使わない人は4割超です。同程度の状態で介護保険を申請しない人も100万人と推定されます。サービスを使わない理由を国民生活基礎調査で見ると、「家族や自分でできる」との回答です。介護度が軽い人で家事援助が必要な人はいるけれど、多くは必要ない。しかし、保険だと利用が拡大しがちです。必要な人には自治体の配食・会食サービスでもできる。数百円で食事を提供できるのに、介護保険で調理に2千円をかけるのは支え合いの仕組みとしては適切とはいえません。効率化してより重い人にサービスを集中すべきです

 --家事援助は自立を支援するとの意見も、軽度認知症の人には見守りになるとの意見もあります

 池田 「要支援」の人の認知症の日常生活自立度は「自立」と「I」がほとんど。日常の支えが必要な「IIa」「IIb」はわずかです。軽度認知症の人にはむしろ、単身者に地域で見守りのある住まいをどう用意するか、などが重要だと思います。

 --予防サービスで高齢者の生活は活性化するという見方もできます

 池田 家事援助のヘルパーが話し相手になり、高齢者の孤独感を癒やす効果はあるかもしれない。通所サービスでも、お年寄りが集まっておしゃべりしたり、楽しんだりなどの要素が重要なことは間違いない。しかし、それは介護保険の給付対象なのでしょうか。本来、地域に求められる役割ではありませんか。地元の商店・コンビニなどの協力も得て、高齢者の居所をつくる。訪問ボランティアを支援する。市町村がそういったコミュニティーを再構築して互助(助け合い)の仕組みをどう作るかです

 【プロフィル】池田省三(いけだ・しょうぞう) 龍谷大学名誉教授。昭和21年、岐阜市生まれ。66歳。NPO法人「地域ケア政策ネットワーク」研究主幹。平成22年末に大腸がんIV期と診断され手術。研究人生の集大成として「介護保険論-福祉の解体と再生」(中央法規)を出版。生前葬代わりに出版記念パーティーを開催した。


  


Posted by ふくえん at 08:30Comments(0)介護保険情報