2015年05月09日 15:44
経営再建中のシャープの財務改善策が8日わかった。主力2行に対する優先株発行などで資本を拡充する一方、1200億円以上ある資本金を1億円に減らし、累積損失を一掃する。
経営破綻していない大企業が99%以上の大幅な減資をするのは極めて異例だ。
税制上の優遇措置を受けながら収益を改善し、他社との資本提携や復配、新たな増資などを模索する。
14日に2015年3月期の決算と合わせ発表する。約2000億円の資本支援を決めているみずほ銀行、三菱東京UFJ銀行の主力2行も減資に合意しているもようだ。
シャープは12年3月期と13年3月期に計9000億円以上の連結最終赤字を計上。14年3月期は黒字化したが、単独で約200億円の繰越欠損金があった。15年3月期は2000億円超の連結最終赤字に転落、単独の累損も膨らんだもようだ。
減資で累損をなくせば将来の復配につながり、公募増資や資本提携なども進めやすくなる。
また資本金を1億円以下にすると「中小企業」と見なされ、法人税への軽減税率の適用、外形標準課税の不適用など税制上の優遇措置も受けられる。
株主の合意が必要なため、6月下旬の株主総会で優先株の発行と減資を決議する予定だ。
シャープは16年3月期も1000億円超の最終赤字が見込まれ、さらに財務が傷む懸念があった。
今回の減増資で財務改善を進め、18年3月期末に連結の自己資本比率を約10%に戻す計画だ。
シャープは1218億円の資本金を1億円へ大幅に減らす減資案を断念する。
税法上の「中小企業」となることで税の軽減をねらったが、売上高3兆円近い企業が優遇を受けることに批判が出ていた。新たな資本金は5億円程度を考えている。
資本金を1億円以下にすれば、企業規模などに応じて税金を課される外形標準課税が適用されない。
シャープは経営再建策の一つとして、こうした優遇措置を受けられる大幅な減資を考えていた。しかし、宮沢洋一経済産業相が12日に「若干、企業再生としては違和感がある」と指摘し、取引銀行幹部からも「世間の納得を得られないのではないか」といった声が出ていた。
シャープは2014年3月末で208億円(単体)の繰り越し赤字があり、15年3月期決算でさらに膨らむ見通しだ。資本金を大きく取り崩して繰り越し赤字を埋める方針は変えず、新たな資本金は5億円程度を軸に考えている。