「公的介護保険」と「民間介護保険」 一体何が違う?
(All About :2012年10月16日)
嵯峨崎 泰子
家族や自分自身が介護を受ける立場にならないと、介護保険の中身はよくわかりません。いずれやってくる超高齢化社会に備え、介護保険の仕組み、制度、保障内容などをここで理解しておきましょう。
公的介護保険とは?
65歳以上しか受給できないイメージの公的介護保険だが、対象は実は40歳以上
公的介護保険の被保険者は、市町村内に住所のある医療保険の加入者(国保、社保)。被保険者は次の2つに区分されます。
■第1号被保険者65歳以上の人。要支援、要介護状態になったとき、公的介護保険の介護サービスを受けることができます。
■第2号被保険者
40歳~64歳の人。加齢が原因となる特定疾病によって要支援、要介護状態になったとき、介護保険の介護サービスを受けることができます。特定疾病は、骨折による骨粗鬆症、初老期における認知症、末期がんなど、16の疾病が該当します(詳細は
厚生労働省HPをご参照ください)。
いずれも要支援、要介護認定を受けたのち、公的介護保険のサービスを受けることになります。
介護保険のサービス内容と、その限界
「要支援状態」の場合、利用できるサービスは
「介護予防給付」です。今後、要介護状態に進むことを予防するための給付となり、
地域包括支援センターのケアマネージャーがケアプランを作成します。
「要介護状態」の場合、利用できるサービスは
「介護給付」です。自宅で生活しながら施設を利用、施設に入所、介護の環境を整えるなど、サービスは多種多様で、
居宅介護支援事業者に配備されているケアマネージャーがケアプランを作成します。
ケアプランに従い、介護サービスを受けると被保険者は
「費用1割負担」が基本となりますが、保険ではまかないきれない費用もあります。例えば、食費、介護タクシーの利用、おむつ、レクリエーション代などです。これらのお金は意外と無視できず、長期間にわたって続き、大きな負担になっていきます。
現場から見た「公的介護保険はココが足りない」
要支援、要介護の認定を受けた人は、在宅で介護サービスを受けたり、特養やグループホームなどの施設を利用します。その様々な場面で、介護保険ではまかなえない自己負担が発生します。
例を挙げると、施設に通いデイサービスなどのサービスを受ける場合、
食費、レクリエーション費、(状態によって)おむつ費用が必要となります。特養などの施設に入所した場合も、食費や居住費が必要になります。最近の特養は個室タイプのユニット型が主流になっており、居住費はかなり高額になっています。訪問・通所サービスの際、通常の営業地域外に該当すれば、サービス利用時の交通費も必要に。通院時に介護タクシーを利用し、それが車椅子などを搬入できるストレッチャー仕様の特別車になると、往復で1万円程度はすぐにいってしまいます。
また、団塊の世代は都会に出てきている人が多く、親が要介護状態になると遠距離介護になります。親元に帰る際、飛行機の介護割引なども利用できますが、負担ゼロにはなりません。これらはすべて公的介護保険でまかなえない費用です。
>>民間介護保険は一体何がカバーできる?
関連記事