施設こそ24時間サービスに参入を・・・

ふくえん

2012年10月17日 08:30

「施設こそ24時間サービスに参入を」- 介護保険推進サミットの分科会
(キャリアブレイン 2012年10月05日 20:22 )

 「第13回介護保険推進全国サミットinひがしおうみ」の分科会「定期巡回・随時対応サービス~訪問介護のパラダイム転換~」が4日、滋賀県東近江市で開かれた。参加したパネリストからは、今年4月から導入された定期訪問・随時対応型訪問介護看護(24時間訪問サービス)について、24時間対応するためのノウハウと人材の蓄積がある特別養護老人ホーム(特養)などの施設こそ、このサービスに積極的に参入すべきとする意見が相次いだ。


分科会「定期巡回・随時対応サービス~訪問介護のパラダイム転換~」(4日、滋賀県東近江市内)


 コーディネーターを務めた龍谷大名誉教授の池田省三氏は、現在の訪問介護は、受給者1人1日当たりの平均訪問回数が 0.6 回程度であるなどのデータを示した上で、「訪問介護だけでは、在宅の介護ニーズに十分対応できているとは言えない」と指摘。短時間の訪問を1日に何度も実施する24時間訪問サービスの普及の必要性を強く訴えた。一方、同サービスを普及させる上での課題として、▽介護業界に多い小規模事業所では、24時間365日のサービス提供を実現するのは困難▽特に、随時対応の依頼が相次いだ場合は、対応が難しいと考えられている▽サービスを提供するだけの人材確保ができない-などを提示した。 

 24時間訪問サービスを手がける小田原福祉会理事長の時田純氏は、特養などの介護施設では、24時間365日にわたってサービスを提供できるシステムと人材が既に整っていると指摘。一方、現在の訪問介護事業所では、そのためのノウハウや人材が十分に蓄積されていないとした上で、「特養が(24時間対応サービスに)積極的に乗り出すべき」と訴えた。他のパネリストも時田氏と同様の見解を述べた。

 同じく24時間訪問サービスを手がけるジャパンケアグループ代表の対馬徳昭氏は、随時対応の依頼について、「利用者のアセスメントを十分に行い、適切なケアプランを立てれば、随時対応の依頼はそれほど多くない」と指摘。さらに、窓口となるオペレーターが電話だけで対応できる場合も多く、実際に依頼に応じて介護職員や看護職員の派遣するのは「依頼の半分程度」とも述べた。

 また、東大高齢社会総合研究機構特任教授の辻哲夫氏は、在宅医療を含めた地域包括ケアの実現に向け、千葉県柏市で進めている実証研究事業「柏プロジェクト」について説明。急速に高齢化が進む都市部にも対応できる地域包括ケアシステムの具現化を目指し、2014年1月には、柏市豊四季台地区に、在宅療養支援診療所や地域包括支援センター、24時間訪問サービスの事業所などを含めたサービス付き高齢者向け住宅を整備する方針であることも紹介した。

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