老人ホーム「買え買え詐欺」が急増・・・
老人ホーム「買え買え詐欺」が急増- 前年同期の3倍に、国民生活センター
(キャリアブレイン 2014年02月07日 18:59 )
架空の有料老人ホームなどの入居権をまとめ買いさせる「買え買え詐欺」が急増していることが、7日までの国民生活センターの調べで分かった。今年度、同センターに寄せられた相談件数は82件(昨年12月まで)で、既に前年同期の3倍超に達している。具体的な手口としては
「親を入居させて孝行したい」「被災地の方を入居させてあげたい」など心情に訴えるケースが多く、中には1000万円以上の被害に遭った例も。同センターでは、現金を支払ってしまえば取り戻すのは極めて困難とし、少しでも疑問や不安を感じる取引を持ち掛けられた場合は、同センターに相談するよう呼び掛けている。【ただ正芳】
「買え買え詐欺」は、架空の商品や権利の購入を勧めるパンフレットを送り付けた上で、「
パンフレットを持つ人しか購入できない。代理購入してくれれば、のちほど高値で買い取る」などと勧誘し、金をだまし取る手口。未公開株や社債といった架空の金融商品を利用することが多い。
ところが国民生活センターによると、ここ数年は、架空の有料老人ホームや介護施設への入居権を用いる手口が増加傾向にあるという。事実、2010年度に同センターに寄せられたこの手口に関する相談は7件だったが、11年度は22件まで増加。12年度は38件となり、13年度では12月末までに寄せられた相談だけでも82件に達した=グラフ=。同センターによると82件のうち、実際に金を振り込んでしまったのは25件で、平均支払額は551万円だった。中には1000万円以上を支払った例も6件あった。
同センターは、
「買え買え詐欺」について、
パンフレットが届いた後、物品などの代理購入や購入のための名義の貸与を求める電話が掛かるのが共通する特徴と指摘。「こうした電話は、相手にせずに切ることが肝心」としている。そのほか、▽番号が通知されない電話には出ない▽普段は留守番電話状態にしておき、必要な要件に対してだけ掛け直す―といった工夫も有効という。
特に老人ホームを用いる手口については、「被災者の方のために入居権を用意したい」や「困っているお年寄りがたくさんいる。助けてほしい」「入居権を購入することで親を安心させたい」など、
相手の親切心や同情心を悪用しようとするケースが多いのが特徴と指摘。また、被害に遭ったりトラブルに巻き込まれたりする人の多くが高齢者であることから、「
家族やホームヘルパーなどは、日ごろから高齢者の様子や居室、居宅の変化などに気を付ける必要がある」としている。
■詐欺の手口は「実際にあり得ない取引方法」
有料老人ホームの事業者などで組織する全国特定施設事業者協議会の担当者は、この詐欺の手口について、「
入居権を代理の第三者にまとめ買いさせるような取引自体、実際にはあり得ない」と指摘。また、どんな形であれ、老人ホームに関する契約を結ぶ前には、必ずそのホームに出向き、現場で働くスタッフと話をすることを心掛ければ、「架空の物件を使った詐欺に巻き込まれる確率はぐっと低くなるはず」としている。
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